羽毛ふとんの詰めものには、
2種類の水鳥の羽毛が
使われています。
羽毛ふとんには、ひとつひとつ独立した水鳥の羽毛が無数に詰められています。
その羽毛には、東欧など寒い地域で育てられたグースとダックの羽毛が使われています。
グース(ガチョウ)とダック(アヒル)。
キーワードは「ダウンボールの大きさ」の違い!
鳥の大きさ=ダウンボールの大きさ
小
ダウンボールが大きいほど、空気を掴む力=あたたかさが向上します。
ダック[アヒル]
グース[ガチョウ/若鳥]
マザーグース[ガチョウ/親鳥]
大
ダウンボールが大きいほど、よりあたたかくなります
羽毛をキレイになるまで
洗い、良質のダウンを
選別します。
動物性素材である羽毛は、ニオイの元となる油脂分を含み、ゴミや不純物も残っています。そこで最初に羽毛を水と洗剤で十分に洗浄することが必要です。
羽毛試験
羽毛の品質を検査
産地から送られてきた羽毛が、指定した品質を満たしているかどうか検査します。(羽毛は基本的に横浜港で動物検疫を受け、合格したものが工場に運ばれます。)
乾 燥
高温で乾燥・殺菌
洗浄した羽毛を乾燥機に移し、110〜120℃の高温で乾燥。この工程は乾燥と同時に殺虫殺菌も行うことができます。
前 除 塵
ゴミ・不純物を除去
(1回目の除塵処理)
羽毛に付着しているゴミや不純物を、除塵機を使って取り除きます。
清浄度検査
排水の清浄度を確認
羽毛の洗浄排水の清浄度を検査し、清浄度がはっきり確認できるまで洗浄します。検査には1000mm透視度計(業界基準の2倍の高さ)を使用します。
東京西川基準
1 2 3 4 5
洗 浄
汚れや油脂分を洗浄
羽毛を洗浄機に投入。汚れやニオイの元となる物質(油脂分など)を、良質な地下水と中性洗剤を使って洗浄。排水がきれいになるまで洗浄を繰り返します。
洗浄水が透明になるまで徹底的に洗浄します。
1回目
洗浄後
冷却除塵
2回目の除塵処理
常温前後で冷やしながら除塵。前除塵段階ではつぶれていたダウンも、この段階では膨らんだ状態になるため、まだ不純物が出てきます。
選 別
羽毛を3つの部屋に選別
(3回目の除塵処理)
大きなダウンを選別するために、羽毛選別機を使って、主に「ダウン」「スモールフェザー」「ラージフェザー他」に選別し、不純物も落とします。
「フレッシュアップ加工」で羽毛本来のチカラを引き出します。
ダウン本来のチカラを引き出し、磨き上げるために、洗浄・選別されたダウンに独自の「フレッシュアップ加工」を施しています。
高温スチームでふっくら
丁寧に丁寧に除塵
徹底した選別
加工前
加工後
同じ3gのダウンでもこれだけ膨らみが違います
フレッシュアップ加工により、約2℃に相当する保温力が向上!
羽毛計量機
加湿乾燥
付加価値加工
羽毛の膨らみを回復
羽毛に水を噴霧し、110〜120℃の熱風を吹きかける(高温スチーム処理)ことで、ダウンを大きく膨らませます。
同時に衛生加工をほどこす
バクテリアの発育や悪臭の発生を抑える、サニタイズ社が開発した衛生加工をほどこします。
[ 冷却除塵 ]
4回目の除塵
加湿乾燥時の熱をさまし、大きく膨らんだダウンから2回目よりさらに細かいメッシュの除塵機を使い不純物やファイバーを取り除きます。
同じ重さの羽毛でふっくら感が違います。
加工前のダウンボール
磨き上げられた羽毛だけが使われています。
加工後のダウンボール
[ 通し選別 ]
良質なダウンを選別
(5回目の除塵処理)
本来のふくらみを取り戻したダウンをもう一度吹き上げることで、より良質な羽毛だけを再度選別します。また冷却除塵で取りきれなかったゴミを取り除きます。
羽毛の性能を最大限発揮させるため、キルティングにもこだわっています。
羽毛ふとんのキルティングは、羽毛の片寄りを抑え、羽毛が空気層を作るのを助けるなど大切な役割を果たします。その理想を追求して生まれたのが完全立体キルト「ソリッドステークキルト」です。
「ソリッドステークキルト」は、熟練者でも一日14〜15枚しかつくられない少量生産です。
羽毛の移動を防ぎ、身体へのフィット感を高めた「ソリッドステークキルト」。
一般的な「立体キルト」
仕切りテープが交差する部分は羽毛充填用ノズルの通り道のため開いています。使用中の物理的作用で羽毛が移動し片寄りが発生することがあります。
↑充填用ノズルの通り道
「ソリッドステークキルト」
仕切りテープが交差する部分はすべて縫いふさぎます。ノズルの通り道をトンネル状に縫製することで羽毛が移動し片寄ることを防ぎます。
「ソリッドステークキルト」の基本構造
-
仕切りテープの四隅はすべて縫い閉じてあり、完全独立の部屋になっています。
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トンネル状の仕切りは羽毛充填の圧力で密閉されます。羽毛が隣の部屋に移動することを防ぎます。
トンネル構造図
↑充填用ノズルの通り道
「ふとんがわ」にもこだわりがあります。
羽毛ふとんのふとんがわには、主に極細の超長綿を使用したソフトで吸湿性や耐久性に優れた生地を使用しています。ドレープ性(フィット性)に優れた生地は、衿もとなどにスキマができるのを抑え、暖まった空気が逃げ出すのを防ぎます。
ダウンプルーフ未加工生地
ダウンプルーフ加工生地
羽毛吹き出し防止加工(ダウンプルーフ加工)
羽毛は針穴のような小さな穴からでも飛び出します。このため羽毛ふとんのふとんがわには、高熱スチームでプレスして織り目をつぶす羽毛吹き出し防止加工が施されています。
(実体顕微鏡による写真)